有田焼|2016/ projectから誕生した有田焼の新ブランド「2016/ 」ミラノで発表した全コレクション紹介

2016/ ショルテン&バーイングス|エディション

 

世界中からデザイン関係者が集まる国際家具見本市ミラノサローネ期間中は、本会場であるローフィエラだけでなく、ミラノ市内でたくさんのデザインイベント(フォーリサローネ)が開催されるデザインウィークとなります。

有田焼創業400年事業として、世界各国から16組のデザイナーが参加し商品開発を進めてきた「2016/ project」も、その集大成としてミラノ市内中心地BRERA地区にあるBRERA SITEを借り切って、世界初となるお披露目を行いました。

約2年半の開発期間を経て誕生した15のスタンダードコレクションと2つのエディションの総作品数は300点以上。会場にはそれらの商品群が一堂に並び、圧巻の展示となりました。

参加デザイナーも会場に勢ぞろいし、窯元・商社の方から聞いた製作秘話もたくさんあるのですが、まずは誰がどんなコレクションを発表したのか、全容が気になるところかと思いますので、ご紹介したいと思います。

 

STANDARD COLLECTION

Ingegerd Raman インゲヤード・ローマン(スウェーデン)×香蘭社

ソーサーにもなる蓋つきのカップ(複数サイズ展開)とティーポットのコレクション。
一番大きなカップの蓋にはシリコンパッキンが付いていて、キャニスターにもなります。
ティーポットには金網の茶こしつき。
蓋とカップの納まりの精度が非常に高く、すっきりとした一体感があります。
ベーシックカラーに思えるブラックとホワイトの釉薬も、このコレクション用に特別に開発されたもの。
デザイナーと職人が最後まで妥協せずに仕上げたコラボレーションの結晶です。

カップ:9,500円〜 プレート:6,500円〜 ポット:27,000円〜

 

 

BIG-GAME ビッグ・ゲーム(スイス)×久保田稔製陶所

コーヒーをドリップできる多孔質な特殊素材のセラミックフィルターと、
直火に掛けられる磁器で作られたケトルやボット、鍋、キャセロールなどのシリーズです。

コーヒーカップ:2,400円〜 ドリッパー:4,200円〜 ケトル:11,200円〜 ポット:23,000円〜

 

 

Christin Meindertsma クリスチャン・メンデルツマ(オランダ)×藤巻製陶

16世紀、オランダの商人が日本と貿易をする際、オランダのリネン生地を将軍に献上する代わりに、磁器を持ち帰ったという歴史にインスピレーションを得て、リネン生地と磁器をテーマに製作。
布を縫い合わせたような形状で表現し、カップやソーサー、ボウル、ピッチャーなどのデザインに仕上げました。
また進化系として、今回のプロジェクトに参加した窯元から廃棄される磁器を集め、粉砕して釉薬に混ぜることで生まれる小さな色や突起のドットを表現に用いたバージョンも製作。制作プロセス自体をプロジェクトとして発信するメンデルツマらしい手法が感じられます。

カップ:1,300円〜 プレート:1,300円〜 ボウル:2,400円〜

 

 

Kirstie van Noort カースティ・ヴァン・ノート(オランダ)×瀬兵窯

陶土の精製時に排出され、廃棄物となる鉄分などを表面の加飾用の材料に用い、トーンの異なるグラデーション表現に仕上げたコレクション。
この色を製品として安定して出すことが難しく、ミラノでの会期中も最終打ち合わせを重ねていました。数百種類に及ぶ実験を繰り返して生み出された、優しいミルクティー色が印象的です。

カップ:1,600円〜 プレート:1,800円〜 ボウル:2,000円〜

 

 

Christian Haas クリスチャン・ハース(ドイツ)×宝泉窯

折り紙で紙を重ね合わせたような形状のカップやボウルは、控えめで使いやすく、繊細な美しさを追求したもの。上から見ると一見普通のラウンド形に見えますが、裏返すと3点支持で、折り線を思わせる線描きの彫り模様が現れます。
単純な造形に思われるかもしれませんが、1300度の高温焼成する磁器の製造においては、重力の影響による変形予測が難しく、きれいなラウンドに仕上げるために何度も鋳込み型の修正をして完成した力作です。

カップ:1,700円〜 プレート:1,500円〜 ボウル:2,200円〜

 

 

Kueng Caputo クーン・カプート(スイス)×錦右エ門陶苑

高度な職人技を要するエアブラシによる「吹付」で色づけされたフラワーベースとボウルのシリーズ。鮮やかな色のグラデーションが美しく、来場者の目を惹きつけていました。

プレート:10,000円〜 ボウル:20,000円〜 フラワーベース:10,000円〜
 

Stefan Diez Office ステファン・ディーツ(ドイツ)×川副青山窯

柔らかい形の精密さと巧妙さを感じられるテーブルウエアコレクション。
最も特徴的だったのはティーポットで、リボンのように大きなカーブを描くハンドルと、つまみのないフラットな蓋。手を沿えずに注いでも蓋がパカッと外れることのないよう、工夫した返しのある作りになっていました。

カップ:1,000円〜 プレート:900円〜 ボウル:1,400円〜 ティーポット:18,000円〜

 

 

Saskia Diez サスキア・ディーツ(ドイツ)×畑萬陶苑

ジュエリー・デザイナーのサスキア・ディーツは有田焼でもジュエリー製作を提案。
日本的な象徴として鱗をモチーフに選び、磁器で作られた「第二の皮膚」のようなイメージでコレクションを展開し、バングル2種と指輪、ペンダントトップ、ジュエリーボックスを製作しました。
黒ダミによるグラデーションや伝統的な鍋島様式による青海波などの絵付けが施されています。

ブレスレット:13,000円〜 リング:6,000円〜 ジュエリーボックス:2,600円〜

 

 

Pauline Deltour ポーリーン・デルトゥア(フランス)×幸右衛門窯

一見普通のティーセットやフラワーベースのようですが、手に取ってみるとずっしり重いんです。
下部の丸餅のような形状は、ほとんどソリッドな陶土の塊。下に重心があって、さらに丸みのある底面なため、起き上がり小法師のような不思議な動きをします。
伝統的な日本の食器には高台がついていることから、この要素をエレメントとして残すことで、アイデンティティと安定感をもたらすよう意図したものとのこと。
釉薬も、ダークブルー、レンガ色、青磁など、伝統的なカラーで構成しています。

カップ:2,100円〜 プレート:3,100円〜 ティーポット:15,000円〜 フラワーベース:6,200円〜

 

 

Leon Ransmeier レオン・ランスマイヤー(アメリカ)×畑萬陶苑

西洋にはない、器を持って食すという日本の器文化、高台の意義をデザインで再解釈し、指掛かりを考えた波打った底面に仕上げたり、繰り返し強い力で使われる道具として考えて、のこぎりやカンナから取っ手のデザインを発想したり。
柔らかい触り心地を楽しめるよう、外側の表面は無釉(空焼き)。触りたくなるフォルムにもこだわりが感じられます。

マグ:2,600円〜 プレート:1,500円〜 コーヒーポット:18,000円〜 フラワーベース:9,000円〜

 

 

Tomas Alonso Design Studio トマス・アロンソ(イギリス)×瀬兵窯

まるで積み木かおもちゃのような形状のデスクトップ・アクセサリー。ステーショナリーやフラワーベースなど、用途を限定しない多機能アイテムとして製作されました。
一見簡単な形状に見えますが、陶磁器の製作において、ゆがみのない長い直線を成形するには、クオリティの高い型作りの技と、正確な焼成技術が必要とされます。

カップ:1,300円〜 プレート:2,600円〜 ハーフプレート:2,200円〜 ベース:3,200円〜

 

 

Studio Wieki Somers スタジオ ウィキ ソマーズ(オランダ)×香蘭社

香蘭社のアイコンともいえる瑠璃釉をグラフィカルな表現に用いたティーセットです。
青と白の色分けも、香蘭社が古くから行っている、メタルのテンプレートで磁器の表面に直接スプレーするステンシルの技法に発想を得ています。プロセスの中で生まれたという月のパターンが、光と影を表現しているかのようです。

カップ:18,000円〜 プレート:17,000円〜 ティーポット:75,000円〜 フラワーベース:60,000円〜

 

 

TAF タフ(スウェーデン)×徳永製陶所

大人も子供も使える食器シリーズという視点でスタートした遊び心のあるコレクション。
アイスクリームからインスピレーションを受けた色や形、液体がこぼれたような形状、スタッキングするとユーモラスなキャラクターのようです。
子供の手から大人の指にまでフィットするサイズ調整を繰り返し、機能性にも配慮しています。

カップ:1,500円〜 プレート:1,400円〜 ボウル:1,800円〜 ピッチャー:9,000円〜

 

 

Fujishiro Shigeki 藤城成貴(日本)×錦右エ門窯

ピッチャーやカップ、キャニスター、グレイザーなどキッチンまわりの道具を中心としたコレクション。
藤城さんがこだわったのは「赤」。マット釉に赤の顔料を混ぜ込んだ特別な赤色ができました。
一見、樹脂の製品かと思えるような新しい質感は、一度釉掛けをしたあと、同じ釉薬をエアブラシで吹き付けて仕上げています。

マグ:2,600円〜 コンテナ:4,600円〜 醤油差し:3,000円〜 ピッチャー:2,100円〜

 

 

Yanagihara Teruhiro 柳原照弘(日本)×藤巻製陶

テーマは、”perfection / imperfection”。
日本に古くからある「不完全なものにこそ美が宿り、美しさを感じる」という思想にインスピレーションを受け、あえて不完全な釉薬の仕上がりを特徴とするテーブルウエアを製作しました。ボウル、プレート2種の3アイテムが一つのボリュームとなる3サイズの展開。

カップ:1,300円〜 プレート:1,400円〜 ボウル:1,900円〜

 

 

EDITIONS

Scholten & Baijings ショルテン&バーイングス(オランダ)×畑萬陶苑

27種類の皿からなるショルテン&バーイングスデザインのエディション。
伊万里・有田の400年に及ぶ歴史的なモチーフや形・技を原点に、デザインに落とし込み、原材料や生地成形方法の研究、熟練した職人の丁寧な手描きの技、最新のデジタル技術、さまざまな努力が結晶してできた、まさにアートピース。
ショルテン&バーイングスは、伝統的な有田焼が、いかにコンテンポラリーデザインに豊富なインスピレーションを与えるかを証明しました。
世界限定30セットで販売予定だそうです。(27種類のプレートがセットで500万円!)

 

 

Yanagihara Teruhiro 柳原照弘(日本)×藤巻製陶

多孔質な磁器素材で製作された、伝統的な八角の壺と円筒の花瓶。
有田で可能な最新のハイテク素材や製造方法を探求する目的で作られたエディションです。
ベースの型はプラスチックのスポンジから作られており、陶土を吹き付けて焼成することによりスポンジ部分が焼き飛び、多孔質な磁器が成形されます。青のグラデーションは、繊細な釉薬の吹き付けを得意とする錦右エ門窯が担当。
実現にいたるまで、佐賀県窯業技術センターが何度も実験と試作を繰り返し、全面的にバックアップしました。

 

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